bemod

2009年04月10日

サブプライム後の新資産運用

中原圭介/2008年/フォレスト出版/四六

サブプライム後の新資産運用僕が読んできた長期投資の本では,たいてい分散投資とインデックス投資がよいとされている。僕にはそれが正しいのか正しくないのかが判断できないため,そうした投資方法に異議を唱えている本をいくつか読むことにした。この本もそのうちの一つ。

この本ではインデックス投資は世界の成長性に投資しているとした上で,現在の市場は日本株式と日本以外の海外株式が連動していると指摘している。この点は僕が分散投資の本を読んでいたときにずっと気になっていた点だった。

90年代バブル崩壊以降の時期には日本株式が低迷する中で海外株式は上昇したため,分散投資のメリットを十分に生かすことができた。ところが,サブプライム後の世界の情勢というのは,世界中の株式市場が連動して動いてしまうので,分散投資のメリットがあまり生かせないというのだ。このことは小幡績『 すべての経済はバブルに通じる 』でも指摘されており,今のベーシックな考え方でもあるのだろう。

そういう議論を踏まえた上で,著者は株式投資と外国預金による分散投資をすすめている。うん? 外国預金については,橘玲『 臆病者のための株入門 』とか北村慶『 貧乏人のデイトレ 金持ちのインベストメント 』あたりではやめたほうがいいと書かれていた気がするのだが…。

こうなると迷うんだな。たとえば内藤忍『 内藤忍の資産設計塾 実践編 』では外貨MMFで資産を積み立てて,ある程度たまればETFに乗り換えろと書かれていて,これについてはこの本でも似たようなことが書かれている。ただ,外国預金の代替として外貨MMFをすすめていて,そうなるとだんだんどういう選択肢がベターなのかもわからなくなってくる。

ひとまず今は,ETF一本でいくのが良いということは確からしく,その方針に従いながら学んでいくしかない。結局のところ,北村慶『 大人の投資入門 』で書かれていたようなほったらかしの運用というのは難しくて,一度投資をはじめたらそれなりに経済の動向は追い続けることは避けられないのかもしれない。

この本でも最後の部分で,投資よりも今の仕事を最優先すべきであり,自分の時間を大切にするべきだと書かれている。これは橘玲『 臆病者のための株入門 』などにも書かれていた。つまり、投資をギャンブルか何かと勘違いしてのめりこむのではなく,優先順位を間違わない範囲で資産運用を粛々とすすめていくのが本来の形だということだ。

でも、ほったらかさない程度に市場や世界の動きに気をかけるのは結構難しいよなぁw そして、何より投資を始めると、それ自体が楽しくなってしまう。しかも、投資が金融リテラシーの勉強にもなっていてるわけだから、僕にとっては一石二鳥というヤツである。損をしない程度にもう少し楽しんでみることにしよう。

Posted by Syun Osawa at 00:50