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2018年3月13日

旅をする木

星野道夫/文藝春秋/1999年/文庫

旅をする木僕が好きな石川直樹氏の本のAmazonレビューで「星野道夫の二番煎じ」的な感想が書かれていたのを見つけ気になって読むことにした。星野氏はすでにこの世にいない。ヒグマに殺されて死んだのだ。僕はそのニュースを昔リアルタイムで見た記憶があるが、それが星野氏だったかどうかは正確に思い出せない程度の記憶しかない。

広大な大地の中で動物の横に寄り添いながら生活を続ける力強さがこの本からは伝わってきた。彼がヒグマに襲われて死んだとき、過信が生んだ事故だというようなことが報道されていた記憶もあるが、事実そうだとしても、この本を読むと当時のニュースの世間での受け止められ方とは少し違った印象を受ける。

変な言い方になるかもしれないが、野生動物の世界は常に死が隣り合わせにある。明日襲われて食べられて死ぬかもしれない。しかし戦って勝つかもしれない。戦うこともできず飢えて死ぬかもしれない。そうした緊張感に満ちた世界が野生動物の世界であり、星野氏はそんな日常を当たり前のように受け入れていた。

少し話が脱線するが、Youtubeの動画でヒグマに立ち向かう小型犬の映像というのがアップされている。小型犬は訓練された戦う犬ではなく、どこにでもいる普通の犬だ。そんな普通の犬がヒグマに立ち向かうのだ。僕が星野氏に感じたのは、野生の世界にある野生の哲学ともいえる「当たり前の勇敢さ」だった。

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