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2018年1月9日

日韓対立の真相

武藤正敏/2015年/悟空出版/四六

日韓対立の真相日本では嫌韓系の本はそれなりの部数が出るらしく書店で見かけることも多い。僕はこの手の本が好きではないのでほぼ読んだことはないのだが、今回の本は元在韓日本大使が書いた本だったので読んでみることにした。できるだけ事実をベースに書こうという意図が感じられ、そこには誠実さを感じた。

日本人が書いているのだから中立な意見というのは無理だという前提はあるものの、それでも韓国の対日政策には首をかしげることが多い。この感覚は日本人がいま韓国に対して抱いている気持ちとも完全にリンクしている。友好関係を築いていると思っていた友だちが昔の出来事をいつまでも掘り返して謝罪を要求し続けるというのは、ひいき目に見ても外交戦略としか思えないからだ。

また、韓国における感情ベースの国民性がいまのこじらせた日韓関係を演出しているとしか思えない部分も多い。それは民主主義の限界も同時に示していて、大衆の意見を注視しすぎるとポピュリズムに流されてしまって冷静な議論が成立しなくなってしまうのだ。

では日本はどうすればいいのか? というところがいまの大きな課題になっているのだが、韓国の感情ベースにあわせてこちらも嫌韓ブームを作るというのはやや大人げない気もする。もう少し戦略的に相手と向き合ったらどうだろうか? 韓国の大衆が抱いている感情の部分さえ何とかできれば新しい展開が見えてくるわけだから、同じ土俵ではなく少し異なる視点で相手と向き合うことも一つの方策なのだという気がする。

元々他の国のように民族同士が分かちがたい対立をしているわけではないし、改善可能なだけに日韓の融和ムードをいかに「演出」するかというのはとても大事になってくると思う。

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