2018年1月10日
風神の門
司馬遼太郎/1987年/新潮社/文庫
雲隠才蔵がただただかっこいい小説だった。忍者小説というよりハードボイルド小説として読んだほうがいいのかもしれない。この小説を読んだ後に雲隠才蔵をネットで調べてみると、ここまでかっこよく彼が描かれることは少ないと書かれていた。
猿飛佐助と対になるキャラという位置づけであくまでわき役、そんな彼をダークヒーローというか影の主人公としてキャラを立たせた司馬遼太郎の力量に感心させれる。こういうキャラが市民権を得るのには時代的な背景も大きかったのかもしれない。
才蔵は物語の中でいろいろな女性と関係を持つ。彼のクールでプレイボーイなキャラクターは当時はよく受けていたのだろう。僕が小学生の頃に『シティーハンター』という漫画があり、その主人公もたくさんの女性と関係を持っていた。そういう価値観が最近はあまりかっこいいとされなくなったように思う。
浮気性であることがダメなことであるかのような窮屈な雰囲気を今の世の中には感じる。純愛原理主義的な価値観を重要視し過ぎて自分たち自身で自分たちを生きづらくしているようにも思えるがどうなのだろうか?
そういう意味でもこの小説の中の否定も肯定もしない男の生き方というのは僕にはとてもかっこよく映った。
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