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2018年1月10日

連載終了! ― 少年ジャンプ黄金期の舞台裏

巻来功士/2016年/イースト・プレス/四六

連載終了! ― 少年ジャンプ黄金期の舞台裏600万部を売ったという黄金期の少年ジャンプで漫画を描いていた巻来功士氏の半自伝的漫画。情けないことに当時のジャンプ読者だったはずの僕はこの漫画家さんのことを覚えていなかった。本を読むと彼の連載はほとんどが短期間で終わっていたようなので作品としての記憶が薄いのかもしれない。

それくらい当時のジャンプは凄かった。キャラクターが溢れていて漫画業界の一つの頂点を作っていたと言っても過言ではない。プロ野球で言えばV9時代の巨人でレギュラー争いをしているようなもので、そこで1軍と2軍の間を行ったり来たりしていたからといって2流のレッテルを貼られるいわれはないだろう。

僕もかつては漫画家を目指して漫画家のアシスタントをしていたこともあるので、巻来氏のいたステージに上がることがいかに凄いことかがよくわかる。もっと凄いのは毎週ストーリーを考え、コマ割りをし、10数ページの漫画を描いていることだ。巻来氏と同じ時期から活躍している荒木飛呂彦氏などの有名漫画家達はそれを何十年も続けているのだからその超人っぷりが容易に想像できる。

漫画という文化がなぜ日本の誇れるコンテンツになったのか?というのを漫画家の超人っぷりから考えると案外納得できる。漫画家たちは売れっ子になっても毎週机の間に向かってひたすらに漫画を描き続けているからだ。売れたからといって左団扇で豪遊しているわけではないストイックな世界だからこそ、日本の漫画は今でもオンリーワンで有り続けるということが改めて実感できる漫画だった。

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