bemod

2018年1月15日

プロレタリア芸人

本坊元児/2015年/扶桑社/四六

プロレタリア芸人千鳥の番組をYoutubeで見ていた時に何度か登場していたのが著者の本坊氏だった。芸人としての仕事はほとんどなく、大工として日々を過ごしているということで、自虐的に大工の激務を語るその内容がとても笑えた。正確には泣き笑いというべきか。

素朴に自分の体験談を書いていることが成功していて、タイトルにもある「プロレタリア」が強く滲んでいた。芸人というかなりハードルの高い夢を持ちながら貧乏生活をしていることと、それによって生活が苦しくなっていることの自分への負担というか矛盾というか、そういう悶々とした思いを持っているところもかつての小林多喜二(彼も小説を書いていた)を髣髴とさせる。志の高さよりもそういう生活状況から生まれてくる声みたいなものがとにかく良かった。

あとは仲間の存在。ぶっちゃけこれに尽きているのかもしれない。芸人の良さというのは誰もが等しく貧乏を経験していることもあって、売れていない芸人に対しての目が優しい。だからこそ売れている・売れていない関係なく同時代を生きた芸人たちが横に繋がっているその姿は僕にとってはとても羨ましいものだった。

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