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2018年1月24日

バーニー・サンダース自伝

バーニー・サンダース/訳:萩原伸次郎/2016年/大月書店/四六

バーニー・サンダース自伝2016年のアメリカの大統領選で世界的にも注目されたバーニー・サンダースの自伝を読了。この本が書かれたのは90年代なので内容的には古いが、社会主義者を公言しているにも関わらず先の選挙戦で善戦したその意味がよくわかる内容だった。

社会主義者というと日本ではすぐに旧社会党だとか共産党だとかが頭に浮かんで「あぁ…頭の固い人たちだね…」と少し残念な気分になるが、彼は全然違った。思想的には都知事選に立候補している弁護士の宇都宮健児さんに近いリベラルな無所属という感じで、しかも政治活動がとても具体的かつ戦略的だ。

だから社会主義者を公言していてもいわゆる旧社会主義国圏を直結してイメージされることが少ないのだろう。日本の左翼がだめになった理由はまさにこうしたイメージを現実の行動によって拂拭するとことができなかったからだろうと思う。「なぜそれができなかったのか?」ということを想像するに、原理原則に固執しすぎてバランス感覚を失ったからだろうという気がしている。

苦しんでいる大多数の味方に立つというシンプルな立場から運動を起こすことこそが重要なのであり、その先にある理想に固執しすぎることでその運動がしぼんでしまうことをいかに防ぐかを考えることは極めて重要な問題だ。そういう意味ではやはり良くも悪くも社会主義者を公言した強いキャラクターの裏側にある「現実に根差したバランス感覚」こそが何より重要なのだ。

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