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2015年3月26日

カウンセリングを語る(全2巻)

河合隼雄/1985年/創元社/四六

カウンセリングを語る(全2巻)友人がプロのカウンセラーをやっており、何度か彼のセミナーを聞きに行く機会があった。心理系のセミナーに参加する人は比較的女性が多く、僕の印象ではリア充な人(もしくは生活自体は安定しつつプラスアルファな悩みを抱えている人)が多いように感じられた。

日本人は「心でっかち」と呼ばれるほど心の問題とりわけ人と人との繋がりの部分を重要視している人が多いように思える。そのため、コミュニティに帰属する意識が強く、そのコミュニティが上手く機能していることを自分の喜びに変換しようとする心の動きもあるだろう。

しかし、コミュニティを正常に機能させるため自分の気持ちとは違う発言を繰り返し続けると、自己一致が難しくなりストレスになる。これは日本人特有の病なのかもしれない。この慢性的な持病とどのように付き合っていくかというところを調整してやるのがカウンセラーの仕事だと定義すれば、整骨院や針・灸・マッサージと同じような機能を持っているとも言えるだろう。

たった2冊の本を読んだだけで偉そうにカウンセリングの機能について書いてみたが、心の問題は果てしなく深いはずで、整骨院のような技術的なメソッドが通用するかどうかはわからない。結局のところ、河合隼雄さんがこう言ったとか細木さんの言うことだから信じてみようというように、カウンセラーとクライアントの関係も人と人の心の問題に回収されてしまうのではないか。昨今の体罰問題も似た話なのかもしれない。暴力の有無という客観的な事実だけで議論しても話が空転するだけなのだ。

最も重要なのは「当事者同士の信頼関係がどう築かれているか」ということであって、その信頼関係をどのように構築するかということが様々な問題を解決する鍵になっていることは間違いないだろう。そう考えると信頼関係は自分の力だけでは解決せず、同時にコミュニティの問題とも付き合っていかなければならないわけで、それを部外者のカウンセラーが何やらするのはなかなか難しそうだ。

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