bemod

2015年4月8日

ルポタージュの方法

本多勝一/1983年/朝日新聞社出版局/文庫

ルポタージュの方法本多勝一の本はどれもわかりやすくて面白い。10代の頃に何冊か読んではいたものの、それほど熱心な読者ではなかった。この歳になって改めて彼の本を読んでみると今でも勉強になることが数多くあり、もっとたくさんの本を読んでおけばよかったと後悔している。

この本もそんな読んでおけばよかったと思う本の一つだった。この本で何に一番感動したかというと、ルポタージュでありながら読者を意識した文章構成を心がけよと説いている点だ。左翼系の論壇人というと頭のかたいイメージが強いが、本多氏の本はとても読みやすく内容もエンターテイメント性に溢れている。しかもその感覚は学生時代から発揮されており、朝日新聞の記者になる前にすでにルポタージュの単著を出しているほどだ。

引き算の話もとても勉強になった。

実際に取材して知ったことを全部記事にするのではなく、記事の主題を引き立たせるために内容を削ったり順番を変えたりすることを躊躇してはいけない。僕が書いているブログ程度でも、見たり聞いたりしたことは全部文章として入れておきたいと思ってしまうのに、何日もかけて取材した内容を主題がボケるという理由でバッサリ切り捨てられるというのは凄いと思う。しかもそうした考えを誰からも教わることなくすでに学生時代から身につけていたのだから、やはり只者ではないのだ。

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