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2018年5月17日

コミュニケーションをデザインするための本

岸勇希/2013年/電通/B5

コミュニケーションをデザインするための本はあちゅう氏へのパワハラ・セクハラ問題で話題になった著者の本。Amazonのレビューは問題発覚後に書かれたものがほとんどで、とてつもない罵詈雑言が並べられている。Amazonレビューのこういう流れはあまり好ましくない。というのも問題発覚以前に書かれてたレビューはどれも好意的なものが多かったからだ。

結論的なことを言ってしまえば、「役に立つ人には役に立つかもしれないが、役に立たないと思う人には全然役に立たない本」という感じだろう。本なんてそうんなものだと言ってしまえばみんなそうかもしれないが、このこの本は特にその傾向が強いと思う。本当にちょっとしたことを深く捉えて考えている。

商品を売るための広告というのは画期的な新商品でないかぎりどれも似たり寄ったりになってしまうので、その似たり寄ったりの部分を広告の力(ここではコミュニケーションを含んだ情報の拡散)で何とかしようとしていて、彼の視点には深く納得させられるものがあった。

自分の会社に当てはめて考えると、おそらくこの著者ほど深く考えて商品を作ったり売ったりしている人は誰もいないと思う。おそらくうちの会社の人がこの本を読んでも「どうでもいいこと」として切り捨ててしまうだろう。しかし、この切り捨ててしまう部分に本当は商品の価値や意味が含まれていることもあるのだと思うし、その部分をよくよく煎じ詰めて考えてアイディアを捻り出しているところに著者の努力の跡が見える。

著者のプロフィールを見ると東海大学海洋学部水産学科を卒業して早稲田の大学院に入っているいわゆる学歴ロンダリング組で、こういう人はとても努力しているのだと僕は勝手に思っている。そういう人だからこそはあちゅう氏の甘えた部分に何やらを思ったのではないかと思ったり思わなかったり。

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