2019年11月17日
コミック昭和史(全8巻)
水木しげる/1988年-1989年/講談社/文庫
水木しげる氏の体験談をベースに昭和史を描いた作品。水木氏は太平洋戦争に参加して左手を失っている。南国の島々でいつ死ぬともわからないような過酷な経験をしていたため、戦中の話が大半を占めている。
昔は戦中派とか戦後派とかいう言葉があって、そこに明確な分断線が引かれていた。この漫画を読むとその理由がはっきりとわかる。戦争という異常な空間(しかも現代の戦争とも違う)の中で人々が理不尽に戦い、理不尽に死んでいった経験は、その後の平和な日常の中であっても何度も何度も思い起こされたことだと思う。
事実、戦争関連のドキュメンタリーを見ると、90歳を過ぎて老人ホームに入っているような方々が、戦前の話となると昨日のことのように話し始め、感情があふれ出す。それくらい心に大きな影響を与えているのだ。
僕は戦争から遠く離れて生き、そして大人になった。そのいま、こういった漫画を読んだときに感じる圧倒的な理不尽さ・不条理さについて自分の中でまだ自分の意見が持てないでいる。
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