bemod

2020年12月31日

アイヌ先住民族、その不都合な真実20

的場光昭/2012年/展転社/四六

著者の周辺が歴史修正主義者の色合いを帯びていることから、どこか政治性が感じられてアイヌの先住性が左翼と右翼の対立のように見えてしまうのはちょっと残念だなと思う。僕自身はアイヌが先住民族であろうとなかろうとどちらでもよいし、おそらく多くの人も同じような感想を抱いているからこそ、今の状況に陥ってしまったのだろうと思う。

僕は漫画『ゴールデンカムイ』の熱心な読者でもあるし、アイヌ文化は受け継いでいくべきだと思っている立場ではあるものの、一方でかつての部落の逆差別論争などのような事態に陥ることは誰もが望むことではないのだろうとも思っている。だからこそ、的場氏のような突っ込み(これは小林よしのり氏も漫画で描いている)を歴史修正主義者だとレッテルを貼って党派的な対立で話を混乱させるのではなく、もう少し冷静な議論のなかで対応していく話なのだろうと思う。

どの本に書いていることが正しいのかは僕にはよくわからないが、今のところ、的場氏の素朴な突込みはそれなりに意味のあるもののように僕には思えている。

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