2016年1月4日
ロスジェネ心理学 ― 生きづらいこの時代をひも解く
熊代亨/2012年/花伝社/四六
やや凡庸かな。
マンガ・アニメなどのネタを含みつつ現代の社会状況を読み解いた本ということで、最近だと宇野常寛さんの仕事に近いような気もする。著者は精神科医なので斎藤環さんのポジションの次世代の論者ということなのかもしれない。
著者のスペックだけ見るとかなりの期待度だし、僕もそういう期待を込めて読んだのだけど、本に詰め込まれた情報量がやや少なめでカルチャー系の論者としてはやや迫力に欠ける。「いま、この瞬間」を切り取って社会状況を論じるなんてのはほとんど根拠の薄いものだと思うので、だからこそ教養勝負で読者を圧倒するくらいの勢いが必要なんじゃないかなと思っている。広さの意味でも深さの意味でも。
オチもごくごく普通の話だった。生きづらさを感じている読者がこの本を読んだとして、はたしてそのオチで納得するのかどうか。
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