bemod

2016年2月3日

ヒーローを待っていても世界は変わらない

湯浅誠/2012年/朝日新聞出版/四六

ヒーローを待っていても世界は変わらないそうだよな…と同意するしかないような本だった。

会社の場合はカリスマ社長が即決してどんどん進めていくほうが改革が進むし、歴史を振り返っても独裁者がいろいろな改革を成し遂げることが多い。そういう意味でもスッキリさせたい願望というのは常にある。江戸時代だって殿様はいるのに格差はいまほど大きくない。今は絶対的な権力者はいない。国民の合意形成によって国家が形作られているということになっている。

結果的には何も言っていないというか、荻上チキさんじゃないけど地味だけどみんなで少しずつやっていこうというのはわからないでもないが、説得力にかける部分もある。これはどちらが正しいのか分からない。たとえばwikipediaについて言うと、日本人はプログラムによって一気に内容を更新するのではなく、みんなが少しずつ力を出し合ってwikiを作っているのだそうな。

そういう意味からすると、日本人にはそういう力は本当にあるのだと思う。みんなが空気によって何となく合意ができていれば、その力によって凄い力を生む。グローバル化すればするほどその空気がなくなり、平凡な国になっていくのかもしれない。得体の知れない集団のパワーというのを日本人はたしかに持っているし、そこではなく個人で切り開くのなら…とういと、その何やらである。

会社には裏テーマがある。表は「会社の利益に貢献する」であり、その方策は2つしかない「売り上げを伸ばす」か「コストを下げる」かだ。しかし裏テーマは「自分の職場の位置を守る」ということだ。

溜めについては僕も考えていて、そのコミュニティ作りについては僕も貢献したいという思いが強い。これは独身の中年男性(女性も同じだろう)なら誰もが思っていることだと思う。独身=結婚によってコミュニティ確保という小さな視野であれば街コンみたいな発想も出るのだろうが、独身だと親族以外に頼る人がいなくなってしまう。そういう状況を越えるためのコミュニティはみんな必要だと気づいているはずだ。

それが友達とかいう曖昧なものではなく上手くつくりたい。

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