2018年1月5日
未完の明治維新
坂野潤治/2007年/筑摩書房/新書
明治維新の不鮮明さがよくわかった。
明治維新についてわかったわけではない。僕が学校で習ってきた幕末から明治維新という近世から近代へと移行する時期の変化の流れが、僕がかつて理解していたような単純なストーリーではなかったことを知ることができただけの話だ。
よくよく考えたらこれは当たり前のことだ。公家・武家中心の社会が今の現代的な国民国家に変わるわけだから、日本人の意識の変化という意味では歴史上最も大きかったことは容易に想像できる。当然旧態依然とした形式にこだわる人から反発があるのは当然だし、事実さまざまな軋轢や対立が起きていたようだ。
興味深かったのは、様々な対立はあれど中心をなすリーダーたちの思惑は基本的に同じ方向を向いていたということだろう。それは日本を強くしないと世界の中で生き残っていけないということで、それをどうやって実現していくかという手法の違いで対立していたに過ぎない。
もちろんその対立の中で西南戦争なども起きたので必ずしも無視できるほど小さな対立だったわけではないが、筆者が書いていたようにもしも西南戦争で西郷隆盛の陣営が勝っていたとしても歴史は同じ方向に向かっていたという話は納得のいくものだった。
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