bemod

2018年1月9日

餃子の王将社長射殺事件

一橋文哉/2014年/角川書店/四六

餃子の王将社長射殺事件真相が全く明らかになっていない事件のルポなので興味深く読んだ。残念ながらこの手のルポとしては内容は薄めな印象だった。『桶川ストーカー殺人事件 ― 遺言』を書いた清水潔さんなどは警察の情報を越えた内容が書かれているが、一橋氏の本はどちらかというと警察からの情報を分析的に記した内容と言える。

それだけに今回のように真相が明らかにされていない事件だと内容がやや薄くなってしまうのは仕方のないことかもしれない。ただ、ニュースで知っていたこの事件に関して僕の中にあった固定観念は少しだけ覆された。

最初、僕はブラック企業の社長が殺されたのは「いろいろな人に恨みを買っているのだろうから当然だ」くらいに思っていた。ところが、殺された社長の人となりがわかるにつれて僕が当初抱いていた印象とは違った社長像が浮かんできた。熱血漢で昔ながらの人情味あふれる社長。しかも創業者一族ではない。

筆者は社長を殺した犯人像としてチャイニーズマフィアの存在を挙げていたが、そうなるとただの怨恨というよりはもう少し組織犯罪的な何かを感じずにはいられない。だとすると殺人によって誰かが利益を得てないといけないことになるのだが、その部分は明らかにされていない。王将と殺された社長についてはそれなりに知れたが、核心部分はほとんど明らかにされないままだったため、最後の最後までもやもやが残ってしまった。

読む[書籍]  餃子の王将社長射殺事件 はコメントを受け付けていません