2018年1月11日
「坊っちゃん」の時代
原作:関川夏央、作画:谷口ジロー/1987年-1996年/双葉社/A5
太田仲三郎『明治蹇蹇匪躬録』という手記を種本にしているそうな。僕は理系あがりなので学生時代にそれほど近代文学の洗礼を受けていない。そのためこの本に登場する著名人達が本郷あたりにパリのモンパルナスのような空間を作っていたことにそれほど感動があるわけではない(とはいえ文学散歩に行く程度には興味はある)。
ただ、この漫画を読んでいて改めて実感させられるのは文化というのは点ではなく一群で一気に立ち現れるということだ。そう考えると個人として才能があるとかないとかということも重要だが、自分が居合わせる環境だったり時代だったりということのほうがもしかしたらもっと重要なのかもしれない。つまりそれは「運」ということになってしまうのだが、そこで開き直るのではなくその時代・その場所で生きている以上、そこで精一杯やるしかないということだ。
ところで、この漫画は1冊の読みきり本なのかと思ったらまだ続きがあるようだ。でも読みきり本としても読める内容である。続刊は気が向いたら読もう。
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