bemod

2018年2月13日

この世界の片隅に

監督:片渕須直/2016年/日本/アニメ

この世界の片隅に2016年の後半になって本・映画ともに「当たり」と思える作品に出会えたことは嬉しいことだ。今年見た映画の中では(と言ってもほとんど見てないが)間違いなくNO.1の作品だった。

本作では戦時下の日本の日常を淡々と描いており、そこで描かれる「普通の日常」の描写が戦争の悲惨さをリアルに伝えていた。こうの史代さんの原作もコトリンゴの音楽も監督の演出もすべて素晴らしく、そのどれもが示し合わせたようにちゃんと同じ方向を向いていたように思う。

そして、主役のすずを演じたのんこと能年玲奈さん。彼女の演技が本当に素晴らしかった。それこそ彼女にしかできないような控えめで受け身でちょっとどこか抜けていて、でも優しいというキャラクターがこの作品のレベルを一気に押し上げていたように思う。

太平洋戦争当時の呉を舞台にしているが作品自体はフィクションであり、そのための演出も各所にあった。特に恋愛の部分とか親族の死の部分とか。だからこの作品が反戦教養映画みたいなカテゴリに押し込まれていくことは良いとは思わない。フィクション作品としてのクオリティの高さをただただ評価したい。

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