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2018年3月19日

首斬り朝(全10巻)

原作:小池一夫/作画:小島剛夕/1995年/スタジオ・シップ/文庫

首斬り朝(全10巻)発行元にスタジオ・シップと記載されていたが上から小池書院というシールが貼られていた。途中で社名を変更したようだが、小池書院も2016年に倒産している。

そんな厳しい時代の変化の中で埋もれさせていくにはもったいないほどの作品だった。wikipediaによると1972年から1976年まで『週刊現代』で連載されていたそうだが、そんな古さを微塵も感じさせないようなエッジの効いたコマ割と物語の展開で、ただただ作品の世界観に圧倒されながらページをめくっていた。

今も劇画系の漫画雑誌を読めばこのクオリティの「濃い」劇画を読むことはできるのだろうが、世間一般の漫画の状況を考えると完全に黙殺されている世界ではある。唯一映画の中で三池崇史監督が奮闘している程度かなという気もする。

男女の情念だとか社会の軋轢によって生まれたドラマ(この場合は悲劇が多いが)の面白さや深さはこの作品の時代にはすでに完成されていて、飽和状態になってしまったのだろうか。上述の三池監督の作品も情念は薄い印象がある。ともかく漫画のコマ割りを含めて実験的な要素が強く、そういう部分も含めて古くて新しい作品だった。

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