2019年11月17日
星の動く音
坂口尚/1981年/奇想天外社/四六
続けて坂口尚本。
12色物語と違ってがっつりSFな作品群だった。しかも詩的なエッセンスと70年代から80年代の空気を含んでいる内容で、学生時代の自分がフワッと脳内に蘇った。僕は中高生のころにアフタヌーンあたりが好きで、ガロやトムの2.0的な意味合いでそれを読んでいた。だから坂口尚氏の作品というのは当時の僕の趣向に近く、僕よりも前の世代でちょっと背伸びをしたいサブカルチャー愛好家な人たちの琴線に触れていたのだろうと思う。
SF耐性のない僕のSFへの理解というのは最新科学とこれからの未来の予見みたいなところを含んでいるので、これから先の世界はどうなるんだろう?…という素朴な疑問に対する一つの提案をしてくれるものでもある。
しかしながら、そういう視点で古いSF作品を見てしまうと妙な古臭さを感じてしまい、どうしても当時の時代性だったり価値観だったりを引きずっていることを無視できなくなる。坂口氏の本はどれも好きだが、SF作品に関してはそこがやや引っかかったりもする。
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