bemod

2017年11月18日

右翼・ナショナリズム伝説

松本健一/1995年/河出書房新社/四六

右翼・ナショナリズム伝説最近はアングラ系とかややコアめな本を多く読んでいる気がする。今回は右翼に関する本。僕はイデオロギー的には中道左派くらいのスタンスかなと思っているのだが、実際のところ右翼が何なのかも左翼が何なのかもよくわかっていないし、そういうおバカな前提を踏まえた上でもこの本にはいろいろ考えさせられるところがあった。

一つは美意識の問題。右翼が持つ美意識には死というキーワードがつきまとっている。そして、その死は「○○のために」といった目的を持っている。献身的な振る舞いに自己陶酔するようなタイプの美意識は親分をヒエラルキーの頂点としたやくざの美意識と近いものがあるのかもしれない。

また、死というキーワードには必ず終わりがあるという有限性の美意識もあり、こちらは日本人が普遍的にもつ死生観とも重なる部分が多い。

右翼・左翼という二項分布は政治的なイデオロギーの対立として捉えられることが多いが、右翼と呼ばれる人の持っているパーソナリティには上のような美意識を持っている人が結構いるのではないか、というようなことを考えさせられた。このことが政治思想と密接に絡んでいるのかは僕にはわからないが、コミュニティへの強い愛など共感できる部分も多かった。

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