bemod

2017年12月4日

采配

落合博満/2011年/ダイヤモンド社/四六

采配「空気を読む」ことが日本社会で上手に生きていくこととされているなか、まったく空気を読まないまま日本野球界に名を残したのが落合選手。

高校でも大学でもほとんど目立った成績を残しておらず、東芝府中の野球部に入ったのも期間工としてだった。そんな絶対にプロ野球とは縁のなさそうなところからプロ入りしたのは25歳。非常に遅いプロ入りにもかかわらず数々の記録を残した。

僕はそんな彼の生き様がとても好きで、今回この本を読んであらためてその思いが強くなった。時には自分勝手とも言われるような行動をとる彼だが、常に自分の力量をクールんに見極めていて、情や常識に流されることなく結果を追い求めている。

事実、選手時代も監督時代も圧倒的な好成績をおさめており、他の追随を許さない。日本人は結果よりも過程のほうを重視する傾向が強いように思う。一人の人生を考えれば過程にこそ物語が宿っているわけで当然といえば当然なのだが、プロという非常な世界においてはその情緒的な価値観が足かせになることを彼はよく知っている。

もっともプロ野球のような興業は過程にこそ価値があるという意見もあり僕はそちらにも同意するのだが、結果をひたすらに追い求めながらクールに自分自身と対峙し続けた彼の野球人生(過程)が何よりもドラマチックであったことはwikipediaを追いかけるだけでも理解できるだろう。

読む[書籍]  采配 はコメントを受け付けていません