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2017年12月22日

彼女たちの売春 社会からの斥力、出会い系の引力

荻上チキ/2012年/扶桑社/四六

彼女たちの売春 社会からの斥力、出会い系の引力帰りの電車でサクッと読了。

学者・学生向けかな? 普通のおっさんがノンフィクションとして読むには鈴木大介さんの『 出会い系のシングルマザーたち ― 欲望と貧困のはざまで 』本のほうが面白いように思う。とはいえ内容はズンッとくる重さがあるので面白いというのとは少し違うのかもしれない。

目次だけ見ればだいたい書いてあることがわかると思う。そこにそれを裏付ける調査の報告があるという感じなので、社会学などを勉強されている方にはその取材の方法も含めて読むといいのかもしれない。取材が目的とはいえ売春をしている女性たちとたくさん出会っている。逆に言えば、他の人でも売春というサービスを受けようと思えばかなり気軽に受けられてしまう現実が日本にはあるということなのだろう。

アイドルヲタである僕の関心領域は女性の性を商品化するというビジネス全体にある。そこにはアイドルの握手会も含まれれば、この本に書かれているような売春も含まれる。一見その2つは全然違うことのように思われるかもしれないが欲望のベクトルは同じ方向を向いていると僕は考えている。

この話を考えると「自分の身体の何をお金に換えるのか?」という資本主義社会の病理そのものが顕在化してきてしまい、僕程度の頭ではわけがわからなくなってしまう。サラリーマンとして働いている僕も自分の時間を経営者に捧げることでお金に換えている。違いがあるとすれば身体のそのものが商品化されているか身体を使った行動が商品化されているかの違いだけだ。この違いが決定的なものなのかどうかは今のところよくわかっていない。

この本の目次は次の通り(Amazonからの引用)。

1章 社会的な引力・斥力 … 風俗・ワリキリ・精神疾患
2章 排除の果て、アウトサイドの包摂 … 虐待・ホスト・ドメスティックバイオレンス
3章 貧困型売春と格差型売春と … 学歴、貧困、ハウジングプア
4章 母親としての重圧 … 離婚、中絶、シングルマザー
5章 全国ワリキリ事情 … 車、パチンコ、買春旅行
6章 3・11 … 地震、津波、原発事故
7章 ナナとの出会い … 日記、メール、妊娠報告
8章 買う側の論理 … 喫茶、サイト、利用データ
9章 出会い喫茶のルーツ … 自己決定、自己責任、自由市場

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