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2017年12月22日

出会い系のシングルマザーたち ― 欲望と貧困のはざまで

鈴木大介/2010年/朝日新聞出版/四六

出会い系のシングルマザーたち ― 欲望と貧困のはざまでシングルマザーが出会い系サイトで売春して、そこで稼いだお金で子どもを育ててるというルポ。なかなか重い内容だった。独身男の僕がこの手のルポを読むのは正義感に駆られて…とかそういうのではなくたんなる興味本位からだ。特にアイドルヲタを長年続けてる身としては、子供をアイドルビジネスに参加させている親の話はなかなか考えさせられるところがあった。

2014年においてもアイドルを夢見る少女たちの数は依然として多いが、そもそもこの業界は彼女たちの「アイドルになりたい」という思いによって成り立っていると言っても過言ではない。

本来ならアイドルがパフォーマンスをすることによってファンからお金を受け取り、その収益が活動資金となっていくという当たり前の経済循環が起きなければならないが、そもそもそんな循環は成立していないため、彼女たちの大半は無給であり、悪くすれば彼女たち自身の持ち出しによって成立している。もちろんファンたちもそれなりの額をアイドルに投資しているのだが、その額では全然見合わない。つまり客数が圧倒的に少ないのである。

そんな中にあって唯一アイドル側が明確に収益を得られるのが水着のDVDを中心としたグラビア活動である。特に小・中学生のグラビアは一定の支持層があり未成年でありながらそれなりの収益をあげている。この「それなりの収益」がどれほどなのかはわからないし、想像するにそれほどの額ではないようにも思うが、今回読んだ本に登場するようなシングルマザーが日本にそれなりの数いるのだとすれば、その「それなりの収益」も重要な生活費になる可能性がある。

こう書いてしまうとジュニアアイドルとして我が子を水着にしているのはシングルマザーだという誤った認識が流布しそうだがもちろんそうではない。実際には子ども自ら望み親が後押しケースもあるだろうが、貧困から子供をアイドルビジネスに参加させていることもあるのだろうと思う。

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