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2017年12月22日

続・風の帰る場所 ― 映画監督・宮崎駿はいかに始まり、いかに幕を引いたのか

宮崎駿/聞き手:渋谷陽一/2013年/ロッキングオン/四六

続・風の帰る場所 ― 映画監督・宮崎駿はいかに始まり、いかに幕を引いたのか前作 に続いて読了。

宮崎駿信者としては、宮崎駿『出発点』『折り返し点』『雑草ノート』などの本人の著作に次いで読んでおくべき本がこのシリーズだと思う(前作は『風の帰る場所』)。ロック親父の渋谷陽一と宮崎駿というあまり接点のなさそうな二人だが付き合いは長いらしく、それだけにお互いに胸襟を開いた対話集になっている。

渋谷陽一氏は自分でロッキングオンという音楽雑誌を立ち上げて編集界の中で独自の地位を確立してきた人で、そういうノリが宮崎駿氏と上手くかみ合っているのかもしれない。ジブリと言うとアニメ界の大巨人のように思えるが、アニメ界全体でみればジブリの描いているアニメの世界というのはむしろ傍流である。アニメ業界は美少女者が隆盛を極めており、各プロダクションともにそういう色を強くした作品をリリースしている。

そういう観点でみるとジブリの作品は絵柄も含めて決して最先端の物ではないし、選び取られる題材も音楽にしても流行を追いかけているわけではない。にもかかわらず常に彼らのアニメがより広い客層のファンを持っているところにジブリの素晴らしさがある。それは渋谷陽一氏が作り上げてきたロッキングオンの世界とも重なるのかもしれない。

独自の路線をひた走った結果、彼らのブレない価値観がその業界の指標になったのだ。

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