bemod

2017年12月26日

性犯罪者の頭の中

鈴木伸元/2014年/幻冬舎/新書

性犯罪者の頭の中なかなかの良書だと思う。

大衆は性犯罪者=異常者というわかりやすいイメージを求めるし、その求めに応じてメディアはわかりやすい犯人像を提出したがる。その代表的な例が宮崎勤だろう。ところが実態はそうではない。性犯罪者には既婚者も多く、大衆がイメージする性犯罪者のイメージとかけ離れていることが多いのだ。

さらに興味深いことに、そのような結果は戦後すぐくらいに行われた調査ですでに明らかになっていたのだ。にもかかわらず僕たちは性犯罪者=異常者だというイメージを持ちたがるのは、そうしないと社会に蔓延する不安が取り除けないからだろう。「人は見たいものしか見ない」というテーゼががっつり当てはまってしまう事例といっていいだろう。

このことは児童ポルノ界隈で言われる「ロリコン」のイメージも同じかもしれない。問題は勝手なイメージを先行させることで事の本質を見誤ってしまうことで実態と大きくかけ離れたところでオチがつけられてしまうことだ。そのことがさらなる被害者を生んでしまうのなら笑えない。だからこそ客観的なデータに基づく調査は必要なのだ。

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