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2017年12月26日

でっちあげ ― 福岡「殺人教師」事件の真相

福田ますみ/2014年/新潮社/文庫

でっちあげ ― 福岡「殺人教師」事件の真相日本社会でよく見かける「事なかれ主義」と「歪んだ正義」が生んだ悲劇と言っても過言ではない。何が恐ろしいって自分のリスク回避だけに心血を注ぐ上司の下に配属されると誰にでも起きてしまう事件だということだ。

Wikipediaによると「殺人教師」のレッテルを貼られた教諭の懲戒処分は2013年にすべて取り消されたらしい。550名を越える大弁護団を相手に誰も引き受けなかった教諭の弁護を引き受けた南谷弁護士の情熱にも感銘を受けた。

この事件の顛末(というか、事件後の社会のあり方)は従軍慰安婦問題に似ている気がする。早い段階で一部を事実として認めてしまったがゆえに、「認めた」という事実を根拠にして泥沼にはまっていくという事態だ。これは自分自身にも起きること。日本人はすぐに謝るし、それが美徳とされる習慣がある。しかし、やからと呼ばれる人たちはその謝罪を根拠にしてさらに深入りしてくる。相手の見極めはとても重要だ。

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