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2017年12月28日

ラップのことば2

猪又孝/2014年/スペースシャワーネットワーク/四六

ラップのことば2「P‐Vine BOOKs」から「SPACE SHOWER BOOKs」に変わり、違う出版社から発売された第2巻目となる日本語ラッパーインタビュー集。今回もゲストのラインナップはかなり豪華でkrevaやGAKU-MC、VERBALなどが名を連ねている。面白いのは大物ラッパーだけでなくdaokoのようなニコニコ動画で名前を売って有名になったラッパーなども取り上げられている点だろう。

参加アーティストは、AKLO、泉まくら、VERBAL(m-flo)、OMSB(SIMI LAB)、GAKU-MC、KREVA、KEN THE 390、SALU、SHINGO☆西成、SKY-HI(日高光啓 from AAA)、環ROY、daoko、NORIKIYO、ポチョムキン(餓鬼レンジャー)、MACCHO(OZROSAURUS)。

それぞれのラッパーが自分のスタイルを模索しながら、かつ他のラッパーやミュージシャンからの影響を隠すこともない。こうした相互関係こそがラップの最大の魅力かもしれないなとこの本を読みながら思っていた。

ロックバンドが自身の体験などを踏まえて音楽を語る雑誌はかなり昔からあるが、ある程度の歴史化が進んでしまった結果、教養主義に傾いている部分も少なくない。それこそ東浩紀氏がかつて言っていたようなデータベース消費型の音楽になっているようにすら思える。

一方で日本語ラップはまだまだ定まった形がなく歴史化が進んでいない。そのため、今もなおB級感が残っていることは喜ぶべきことだろう。世間から「ラップって駄洒落でしょ?とかヨーヨー言ってるの?」みたいな蔑みを受けるくらいの存在だからこそ残っている余剰というのがあり、それこそが希望なのだということはインタビューを読んで強く感じたことだった。

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