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2017年12月30日

改正児童ポルノ禁止法を考える

園田寿、曽我部真裕 編著/2014年/日本評論社/A5

改正児童ポルノ禁止法を考える2014年7月5日に改正児童ポルノ禁止法が施行され、実際の取り締まりが始まるのが翌年の2015年7月5日。で、今このブログを書いているのが2015年3月30日。法律はすでに施行されているが適用はまだという段階。

日本ではアイドル界隈に未成年者が多いため、グラビア活動をする年齢層も幅広い。そのためその一部の活動が改正児童ポルノ禁止法に抵触するのではないかとか、それらのDVDを所持していると逮捕されるのではないかという憶測が流れていた。ヲタ活の現場でもたまにそうした話題が出ることがあり、「絶対ヤバい!とにかく全部捨てたほうがいい!」と言う人もいれば「問題ないよ」と言う人もいる。

いわゆる直接的なポルノはこれまでもアウトなのでそれが問題なのは当たり前の話だが、前述したようなアイドル活動の一環として市販流通していた物が突然アウトになって、それを所持していたことで逮捕につながるという可能性を多くのヲタは気にしているのだろうと思う。

この最も素朴な疑問に関してはこの本を読んでも解決しなかった。大学の先生が書いた学術的な本だったので、法律の細かな点に関する考察や世界の動向などを俯瞰したものが多く、具体的な踏込はなかったからだ。

教養を高めるとうい点ではなかなか良かった。今の法律改正の流れは世界的な流れだということと、その中で多くの疑問や問題点が世界中で提起されていることがわかったからだ。問題は児童を性被害から守らなければいけないという大前提であり、この点は世界中の人たちが同意している点だ。しかしそれを具体的に踏み込んで考えていくと個別のところで多くの問題をはらんでしまう。

これまではその個別の問題が冤罪を生むという危険からか法律がぬるめに設定されていたが、2000年代に入ってその規制が強化される方向になっているのだろう。そのため、そこで引き起こされる問題に関してはまだ未検証のままである。

この問題への取り組みが最も進んでいると言われるドイツは単純所持に関しても厳しいが、一方で禁止法案を18歳以下なら全員同じ扱いで取締りをするのではなく2段階にしている。これはまっとうだと思う。例えば12歳と17歳ではわずか5歳しか変わらないが、この時期の5歳の差はとても大きく全然違う。ゆえに12歳なら厳しく17歳なら同じ法律でもやや考慮される。こういう風にしないと何でもかんでも取り締まられることになり、委縮効果が強くなりすぎて問題がどんどんアンダーグラウンド化する危険性があるだろう。落としどころは必要なのだ。

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