bemod

2015年3月31日

フシギなくらい見えてくる! 本当にわかる現代思想

岡本裕一朗/2012年/日本実業出版社 /四六

フシギなくらい見えてくる! 本当にわかる現代思想タイトルに釣られて読んだ本。このレベルの導入本というかイントロダクション的な本はわりと読んでいるほうだが、こういう本を読み続けても現代思想について全然の理解は深まらないんだよねw

とはいえ、論壇などでサラッと出てくる言葉(脱構築、再帰的近代、マルチチュード、ホモ・サケル、アーキテクチャ、ネオ・プラグマティズムなど)については概観はつかめるために何となく分かった気になれるのはたしか。だから本来なら大学生に入りたての1回生が一気にステップアップするために読むような本なのであって、おっさんが読むような本ではないのだろう。おっさんはそこから派生した言葉一つひとつを誠実に受け止めて、もう少し深みのあるところに入っていかないと『るるぶ』のガイドどおりに旅行して旅行マニアを自称する人たちと同じレベルに留まってしまう。

だったらもう少し深いところに僕はいけるのか? となると残念ながら「NO」と言わざるを得ない。なぜなら僕にそこまでの脳力がないからだ。脳力がないにもかかわらずこの手のネタを2ちゃんを斜め読みしつつ楽しむ程度に消費するには、このレベルの概観書を横に横に読み続けるしか仕方がないのである。

個人的な興味はこの本の最後のほうに書かれていた「コミュニティ」や「再帰的近代」といったところにあり、そこは僕の普段の生活と接続させて考えられる。そうしたキーワードの背景を知っておきたいということであればこの程度の知識を更新していけば十分だともいえる。

現代美術を考えるにはアート市場を無視することはできないという村上隆氏の持論を真に受けるならば、現代思想も僕たちの生きている世界(多くは資本主義の社会)を無視することはできず、形而上学的なハイエンドの何やらではなく僕の生活から湧き上がる積み上げ型の問題系を中心に考えたほうが良いはずである。そのときに現代思想はツールとしての役割を果すにちがいない。

ツールはいかに使用するかが重要で、その歴史やらルーツやら本来的な機能について考えることは僕には関係のないことである。だからやはり、この手の解説本を横に横に読むだけで十分である…ということにしておこう。

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