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2018年2月2日

熟年売春 ― アラフォー女子の貧困の現実

中村淳彦/2016年/ミリオン出版/四六

熟年売春 ― アラフォー女子の貧困の現実ルポ 中年童貞 』に続いての中村淳彦の本。

美しい日本のあまり美しくない部分だけにスポットを当てて本を出すというとても重要な仕事をされていて、好きなノンフィクションライターの一人である。今回の本もげんなりするような内容だった(良い意味で)。

売春関連の本は女性が春を売ることの倫理性などにスポットが当てられることが多いが、この本に登場する中年女性は売春をしたくてもその市場からもはじき出されて、それこそ普通のアルバイトと同じレベルの価格で売春をしている人たちにスポットが当てられている。

こういう人たちの実態を読んでいくと、普通に売春をして普通に収入を得ている人はどうでもいいとに思えてくる(それなりの対価を得ているからだ)。貧困状態にある中年売春婦(もしくは風俗嬢)という出口のない状態であれば生活保護を受けるしか道がないし、そのどうしようもなさがただただ気持ちをげんなりさせるのだ。

社会にはこういう人たちが少なからず存在しているのに、なぜだか見えないことになっている。僕も見ないようにしているのだと思う。そういう社会の矛盾に対する自分なりの答えすら持っていないからだ。だからこの本を読んだ後も「だからこうするべきだ!」という熱い主張がない。そういう自分の弱さも同時に痛感させられた本だった。

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