bemod

2018年3月12日

生きるために大切なこと

アルフレッド アドラー/訳:桜田直美/2016年/方丈社/四六

生きるために大切なことようやくアドラーの原著を読んだ。アドラーの本は何年か前から日本で流行っているが、原著というよりは『 嫌われる勇気 』などの解説本が受けているらしい。僕もその手の本を数冊読んだだけの人間なので、アドラー本人がどのように書いているかは知らないままだった。

端的に感想を述べると、解説本よりはずっと難しい。まぁこれは当たり前の話だが、その難しさゆえにわからない部分を省いたとしても、少しだけ解説本とは違うニュアンスを感じた。解説本はかなりアドラーの主張の一部分を拡大解釈してピックアップしているような印象がある。

例えばそれはアドラーが「勇気」という言葉を使っていて、解説本はかなり強くピックアップしている。僕が勝手に拡大解釈するなら、彼は個人主義が根差した社会の中で共同感覚を持つことの重要性を訴え、その上で勇気を持つことを語っているように思える。そして、そこから得られる教訓がダイレクトに日本人にリンクするのかというと何となく微妙な印象も受ける。

また、フロイトの夢解釈などには会議的な立場をとりながらも、幼少期までに形作られる人格の原型については重要視しているので、やはり解説本で得たアドラー心理学の主張からは少しだけ距離を置いて冷静に読んでいく必要があるなとも思った。いずれにせよもう少しいろんな角度からアドラー心理学の本を読み込んでいかないと理解できないレベルの内容であり、僕にはまだ少しハードルが高い内容でもあった。

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