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2017年12月5日

残酷の世界史 ― あまりにも恐ろしすぎる血塗られた歴史物語

瑞穂れい子/2005年/河出書房新社/文庫

残酷の世界史 ― あまりにも恐ろしすぎる血塗られた歴史物語ニュース番組などで「近年は犯罪が凶悪化してる」といった定型文を話すアナウンサーを目にすることがあるが、この本を読むと昔に比べたらずっとマシな世の中になったのだとわかる。死刑を適用されるケースが今よりもはるかに多く、しかも殺し方が残酷だ。それによって犯罪を抑止したいという効果もあったはずだろうが、人の生命の価値が今よりもずっと軽く扱われていたのだろう。

こうした伝統(残虐な方法で敵対する相手を殺してしまう)が今も残っているのはマフィアの世界くらいだろう。あとは中東のイスラム過激派とか。シルヴィオ・ピエルサンティ『 イタリア・マフィア 』の冒頭に書かれていたことだが、マフィアは簡単に人を殺す一方で、自分自身も簡単に死んでしまう。

残酷さが少しずつ軽減されてきた背景には、近代的自我の発見によって自分の生命をより大事にするという側面もあるのかもしれない。

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