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2018年1月5日

マグリット展

2015年6月18日/13:30-15:00/国立新美術館

マグリット展久しぶりに美術の展覧会へ。おそらく2014年に行った 宮本三郎記念美術館 以来だと思う。最近はすっかり美術館巡りの趣味から遠ざかっていたので、今回のマグリット展は大きな刺激になった。

マグリット展は「○○とその時代展」といったようなキュレーターの趣味が色濃く出た展覧会ではなく、一人の大物画家の作品をたくさん集めた作品展なので内容的にもかなり濃いものになっている。当たり前のことだが一人の作品を集める方が大変なのだ。それだけに価値の高い展覧会だったとも思う。実際、チケットショップではマグリット展のチケットは売り切れ続出で値段も下がっていなかったので美術館の窓口で購入した。

マグリットに関する僕の知識は「シュールレアリスム」界隈の人っていうだけで深い造詣があるわけではない。活躍した年代が1920年代以降ということで、僕の関心領域である 戦争と芸術 関連でも何か収穫があるかな程度の気持ちしか持っていなかった。その何もなさが功を奏して変な色眼鏡をかけずに絵画と向き合うことができたのは良かったと思う。

特にシュールレアリスムの世界というのはダリに代表されるように哲学的な要素が強く、その時代の現実をいかに脱臼させるかみたいな難解な要素も持っているので、変に知識があるとそちらのほうにばかり気持ちが引っ張られてしまう危険性があるからだ。

マグリットは絵画への取り組みを問題に対する解答という位置づけで考えているらしく、不思議な絵画たちは彼なりの問題意識へダイレクトに繋がっている。そこには心の内面を上手くビジュアル化したいというだけではなく、当時の画家たちがしのぎを削っていた技法に対する何やらもあったはずだ。そのことは彼が描く絵の中に繰り返し登場するパターン化された物からも推測することができる。

戦争と芸術 関連の話題としては、第二次世界大戦が始まった当時、彼の絵画はルノワールのような明るい絵画に変化した。その当時の絵画はほとんど評価されていないらしい。興味深かったのは技法が変遷する直前に描かれた《自由の入り口で》だ。狭い部屋の中には彼が繰り返し描いてきたパターン化された樹木や球体などが描かれた絵画が立体的に敷き詰められており、その中央には大砲が描かれている。戦争が間近にせまっていることをわかりやすく示したプロパガンダのような絵画で、そのわかりやすすぎる絵をなぜ彼は描いたのか?ということに興味を持った。

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